
田園風景の中に、ふっと酒蔵の煙突が見えてくる。神奈川県開成町の瀬戸酒造店は、そんな出会い方をする酒蔵です。慶応元年から続く蔵の軒先に立つと、麹の甘い香りとほのかな杉の匂いが混じり合って漂ってきます。
実際に訪れてみると、想像していた以上に「田んぼの中にぽつんとある、絵になる酒蔵」でした。今は蔵見学だけでなく、庭園でお酒を試飲できる「角打ち」スタイルも楽しめるようになっています。この記事では、瀬戸酒造店の見どころからアクセス方法、試飲や購入のコツまで、実際に足を運んだ視点でご紹介します。

瀬戸酒造店ってどんな酒蔵?慶応元年創業の"再始動"ストーリー
瀬戸酒造店は、神奈川県開成町にある酒蔵です。創業は慶応元年(1865年)。かつて「酒田村」と呼ばれたこの土地で長らく地酒を醸してきましたが、1980年に自家醸造を中断していました。
再始動のきっかけは、建設コンサルタント会社「株式会社オリエンタルコンサルタンツ」(東京都渋谷区)による子会社化です。橋梁設計者だった森隆信氏が代表取締役に就任し、2018年に38年ぶりの自家醸造を復活させました。杜氏を務めるのは小林幸雄氏。丹沢山水系の深層地下水と足柄平野の米、そして開成町の花である「あじさい」の酵母を使い、現在は20種類を超える銘柄を醸しています。
フランスの日本酒コンクール「Kura Master」で最高賞を連続受賞するなど、国内外の評価は年々高まっています。伝統の看板を守りながら新しいことに挑戦し続ける、そんな蔵の姿勢が味わいにも表れている気がします。
瀬戸酒造店へのアクセス方法
車で行く
東名高速道路「大井松田IC」から約10分、4.5km。敷地奥に無料の駐車場があります。
電車・バスで行く
小田急線「新松田駅」から箱根登山バス「関本」行きに乗り、「四ツ角」で下車。そこから徒歩約20分です。バスは20分おきに出ているので、待ち時間もそれほど気になりません。
徒歩の場合は新松田駅から2.8km、約35分。酒匂川沿いの田園風景を眺めながら、ハイキング気分で歩くこともできます。
また、小田急線「開成駅」からはトゥクトゥクでの送迎もあります(後述するOtonamiの見学プラン利用者向け・要予約)。
田園風景と丹沢の水が育む、瀬戸酒造店の酒
蔵の周りには一面の田んぼが広がり、奥には丹沢連峰が見えます。瀬戸酒造店の仕込み水は、この丹沢山水系の深層地下水。敷地内で汲み水を口にしてみると、まろやかでくせのない味わいでした。
足柄平野は昔から酒米づくりが盛んな土地で、毎年6月には田んぼのあぜ道を彩る「開成町あじさいまつり」も開催されます。開成町の花であるあじさいから抽出した酵母を使ったお酒が造られているのも、この土地ならではです。田んぼの中にぽつんと佇む蔵の姿は、それだけで一枚の絵になる風景でした。

Sake Terraceで角打ちと試飲を楽しむ
瀬戸酒造店では敷地全体を「Sake Terrace」として開放しており、気軽にお酒を楽しめる空間になっています。
niwa|日本庭園とコイン式試飲サーバー
縁側でくつろぎながら日本庭園を眺められる「niwa」。ここにあるコイン式の試飲サーバーでは、1杯500円で純米大吟醸など特別なお酒を少量から試せます。小さな水のせせらぎがあり、季節になると蛍の光も楽しめるそうです。

hiroba|直売所とキッチンカー「SakeBar」
蔵と煙突を望む「hiroba」には直売所があり、購入したお酒をその場で楽しめます。土日には蔵直営のキッチンカー「SakeBar」が出ることもあり、桜の季節には花見酒も楽しめます。
入場料は無料なので、ふらっと立ち寄って一杯だけ、という楽しみ方もできます(フリースペースのため予約での占用はできません)。営業時間は10:00〜19:00、定休日は月〜水曜(祝日は営業)です。

瀬戸酒造店の地酒ラインナップ
瀬戸酒造店の商品は、大きく3つのラインナップに分かれています。
酒田錦|幕末から続く伝統の代表銘柄
かつて蔵に根付いていた蔵付き酵母と、足柄平野の米を使って復刻した伝統の酒。しっかりとした味わいで、普段の食事に合わせやすい食中酒です。

セトイチ|伝統の技と自由な発想で醸す多彩な味わい
「誰と、いつ、どんな肴で飲みたい酒か」をイメージし、様々な酵母と醸造技術を組み合わせて造られるシリーズ。「月が綺麗ですね」「はるばる」「風が吹いたら」など、詩的な名前も魅力です。

あしがり郷|あじさいの花酵母が生む白ワインのような酸味
開成町の町花・あじさいの花から抽出した酵母を使う、日本でここだけともいわれる日本酒です。白ワインのような爽やかな酸味と、綺麗な味わいが特徴。開発から完成までわずか一度の試作で仕上がった、奇跡のお酒とも言われています。


じっくり見学したいなら、Otonamiの蔵見学体験プランへ
瀬戸酒造店では以前、電話予約で酒蔵見学を受け付けていましたが、現在は体験予約サイト「Otonami」を窓口にリニューアルされています。
料金は15,000円(税込・1名から予約可)、所要時間は約180分。醸造所の見学(約60分)に加え、日本酒3種の飲み比べと地元食材を使った発酵料理(約90分)、直売所でのお土産選びまでセットになっています。開催は木・金・土・日曜の15:00〜18:00(例年7・8月は休止)、予約は開催7日前まで。希望すれば小田急線「開成駅」からのトゥクトゥク送迎も利用できます(20歳以上限定)。
「まずは気軽に一杯だけ試したい」ならSake Terraceのコイン式試飲、「じっくり酒造りの現場まで知りたい」ならOtonamiの見学プラン、と使い分けるのがおすすめです。詳細はOtonami公式サイトで確認できます。
瀬戸酒造店の口コミ・訪問者の声
縁側から日本庭園を眺めながらお酒を飲めるのが最高でした。田んぼの緑と蔵の煙突が見えて、時間を忘れてしまいます。
敷地奥に無料の駐車場があり、車での訪問がとても楽でした。田んぼ道をのんびり走るドライブも気持ちよかったです。
直売所のスタッフさんが銘柄ごとの違いを丁寧に説明してくれました。好みを伝えると、ぴったりの1本を選んでくれます。
土日にキッチンカー「SakeBar」が出ていて、広場でのんびり過ごせました。子どもも田んぼや煙突を見て楽しそうでした。
「あしがり郷」を試飲したら、本当に白ワインのような酸味で驚きました。日本酒が苦手な友人にも好評でした。
季節ごとに違う銘柄が出るので、何度訪れても新しい発見があります。あじさいまつりの時期はまた特別な雰囲気でした。
バス停「四ツ角」から蔵まで歩くと、思ったより距離がありました。
→ 徒歩が大変な場合は、新松田駅からタクシーで約10分が便利です。Otonamiの見学プランを利用すれば、開成駅からのトゥクトゥク送迎も予約できます。
試飲がコイン式で有料だったのは、少し意外でした。
→ ワンコイン500円で純米大吟醸クラスの少量試飲ができる仕組みで、直売所には小瓶サイズの商品も揃っています。まずは1杯試してから、気に入った銘柄をお土産に選ぶのがおすすめです。
瀬戸酒造店についてよくある質問
Q. 瀬戸酒造店の親会社は?
A. 建設コンサルタント会社「株式会社オリエンタルコンサルタンツ」(東京都渋谷区)です。2017年に瀬戸酒造店の全株式を取得し、地域活性化事業として醸造を復活させました。
Q. 瀬戸酒造店の社長は誰ですか?
A. 代表取締役は森隆信氏。もともとは橋梁設計を手がけるコンサルタントで、2018年の醸造再開を主導しました。
Q. 瀬戸酒造店のおすすめは?
A. 初めてなら、あじさいの花酵母を使った「あしがり郷」が飲みやすくおすすめです。伝統の味を楽しみたいなら「酒田錦」、色々な味わいを飲み比べたいなら「セトイチ」シリーズが向いています。
Q. 蔵見学はできますか?
A. 一般向けの電話予約による見学は現在休止中ですが、体験予約サイト「Otonami」経由でリニューアルされた見学プランに申し込めます。
瀬戸酒造店の概要
| 名称 | 瀬戸酒造店(株式会社瀬戸酒造店) |
| 親会社 | 株式会社オリエンタルコンサルタンツ |
| 所在地 | 〒258-0028 神奈川県足柄上郡開成町金井島17 |
| 創業 | 慶応元年(1865年) |
| 代表者 | 森 隆信 |
| 営業時間 | 10:00〜19:00(直売店・角打ち) |
| 定休日 | 月〜水曜(祝日は営業) |
| 電話 | 0465-82-0055 |
| URL | https://setosyuzo.ashigarigo.com/ |
| アクセス | 新松田駅からバス「関本」行き「四ツ角」下車徒歩20分/大井松田ICから車10分 |
| 駐車場 | 敷地奥に無料駐車場あり |
瀬戸酒造店のまとめ
田園風景に囲まれた瀬戸酒造店は、見て、香って、味わって楽しめる酒蔵です。日本庭園でのコイン式角打ちなら気軽に、Otonamiの見学プランならじっくりと、自分のペースで日本酒の世界に触れられます。
開成町を訪れた際は、近くの瀬戸屋敷やあじさいの里と合わせて、田園風景の中の酒蔵さんぽを楽しんでみてください。

瀬戸酒造店から徒歩圏内、江戸時代の名主屋敷を無料で見学できます。

あしがり郷の由来にもなった、開成町の紫陽花の絶景スポットを紹介。

新松田駅・大井松田ICから足を延ばせる、600年の歴史を持つ天狗の古刹。

酒蔵めぐりの後は、開成町で人気の豚骨醤油「ヤバイラーメン」もどうぞ。





