
神奈川県の南西端、静岡県熱海市との境目に、湯河原という小さな温泉町があります。私が生まれ育った町です。東京駅から特急「踊り子」に乗れば1時間ちょっと。決して遠くはないのに、改札を出た瞬間、山の匂いと温泉の湯気がふわりと混じった空気に変わります。夏目漱石や島崎藤村、芥川龍之介といった文豪たちが好んで長逗留したのも、この空気のせいかもしれません。
この記事では、地元で育った私が実際に歩き、食べてきた場所だけを集めて、湯河原の楽しみ方をご案内します。はじめての方がいちばん迷う「駅と温泉場の位置関係」と、車がなくても回れる日帰りコースから先にお伝えします。
湯河原はどんな町?まず知っておきたい基本
湯河原温泉は、万葉集にも詠まれた歴史ある温泉地です。ただ、はじめて来た方が意外に思うのが、駅と温泉場が離れていること。湯河原駅は海に近い町の中心にあり、旅館や万葉公園が集まる温泉場は、藤木川をさかのぼった山あいにあります。駅前で温泉街を探して「あれ、ないな」となる方は少なくないので、最初にここだけ押さえておくと、旅の組み立てがぐっと楽になります。
| 場所 | 神奈川県足柄下郡湯河原町(静岡県熱海市と接する県境の町) |
|---|---|
| 最寄り駅 | JR東海道本線 湯河原駅(特急「踊り子」も一部停車) |
| 駅→温泉場 | 駅前から奥湯河原・不動滝方面のバスで約10分(落合橋・温泉場中央付近) |
| 車 | 西湘バイパス 石橋ICから一般道で温泉場方面へ |
| 公式情報 | 湯河原温泉 公式観光サイト |
エリアの位置関係
湯河原は、海側から山側へ細長く広がる町です。私はいつも、次の4つのエリアに分けて考えると説明しやすいと感じています。
| エリア | 雰囲気・主な見どころ |
|---|---|
| 湯河原駅周辺 | 隈研吾建築の駅前広場と手湯、百年桜。カフェや老舗ラーメン店も駅から歩ける距離です |
| 温泉場 | 藤木川沿いの湯元通り、万葉公園、湯河原惣湯。老舗旅館が並ぶ湯河原温泉の中心です |
| 奥湯河原 | 温泉場からさらに山へ入った、緑深い静かな温泉地。落ち着いた宿が点在します |
| 吉浜・海側 | 吉浜海岸のサーフィンと海水浴。温泉地なのに海がすぐ近いのが湯河原らしさです |
車なしで回れる、日帰りモデルコース
湯河原の温泉場は、藤木川に沿ってゆるやかな坂が続きます。地元の感覚でいうと、バスで上流まで上がってから、川沿いを下りながら歩くのがいちばん楽です。私が実際に歩いたルートを、日帰りの順番に並べてみました。
湯河原駅で手湯と百年桜
木の大屋根の下にある手湯で、まず手を温めてから出発します。春なら駅前の百年桜が町いちばんの早咲きです。湯河原駅の見どころ
奥湯河原行きのバスで「桜山入口」へ
駅前のバス乗り場から奥湯河原行きに乗り、桜山入口で下車。ここが散策のスタート地点です。
湯元通りを下りながら温泉場さんぽ
石畳の路地に老舗旅館や源泉やぐらが残る、湯河原温泉の発祥の地。クランク状に曲がる道と、藤木川の赤い橋が絵になります。湯元通りの散策記
バスで駅へ戻り、駅前でひと息
駅前のカフェで電車を待つか、老舗の味の大西でラーメンを。時間に余裕があれば、私の産土神でもある五所神社にも足を延ばしてみてください。五所神社の参拝記
バスの時刻は季節や曜日で変わります。帰りの便は、乗る前に時刻表で確認しておくと安心です。
湯河原の観光スポット
ここからは、モデルコースに登場した場所も含めて、エリアごとに記事をまとめています。気になる場所から、詳しいレポートをのぞいてみてください。
湯河原駅と駅前
湯河原の玄関口となる湯河原駅は、2017年に隈研吾さん設計の駅前広場に生まれ変わりました。杉のルーバーを組んだ大屋根と手湯、土肥実平公の像など、駅を出てすぐに見どころがあります。
隈研吾建築の駅前広場と手湯、町いちの早咲き百年桜
続きを読む ›温泉場と歴史さんぽ
湯元通りの石柱が立つあたりは、河床から温泉が湧いていたという湯河原温泉の発祥の地です。唐破風の玄関を構えた旅館や大正期の楼閣風建築が今も残り、石畳を歩くだけで、万葉の時代から続く湯治場の空気を感じられます。町の歴史をもう少し深く知りたい方には、約1300年前の創建と伝わる五所神社もおすすめです。
桜山入口から湯元通りを下り、源泉やぐらと老舗旅館を巡る散策記
続きを読む ›私の産土神、鳥居から明神の楠まで歩いた参拝記録
続きを読む ›自然と海でひと息
山あいの森林浴から海辺のサーフィンまで、湯河原は自然の表情がとにかく豊かです。真夏でも万葉公園の渓流沿いはひんやりとしていて、川の音を聞きながら歩くと汗がすっと引いていきます。温泉場から駅を挟んだ反対側には、吉浜海岸の海が広がっています。
足湯とブックラウンジで過ごす、万葉公園の癒し空間
続きを読む ›渓流沿いの散策路で、ひんやり涼しい森林浴
続きを読む ›サーフィンと海水浴で賑わう、地元育ちが語る夏の海
続きを読む ›湯河原のグルメ
湯河原は、温泉旅館の料理だけでなく、町なかにも実力のあるお店が揃っています。記念日に訪れたいレストランから、散策の合間に寄れるカフェやラーメンまで、私が実際に食べたお店をご紹介します。
特別な日のレストラン
記念日や特別な一日には、じっくり腰を据えて味わいたいお店があります。3軒とも実食レポートなので、料理の流れや店内の雰囲気を写真で確かめてから予約できます。
五感で味わう海のフレンチ、実食レビュー
続きを読む ›本格コースをじっくり味わう実食レポート
続きを読む ›エクシブ湯河原離宮、翠陽とマレッタの食べ比べ記録
続きを読む ›カフェと食事処
散策の合間にふらっと寄れる、気取らない一軒も湯河原の魅力です。3軒とも駅から歩ける距離なので、帰りの電車を待つ時間にも使えます。味の大西は、私が1980年代から通い続けている店です。
駅前で見つけた、電車待ちにも便利なおしゃれカフェ
続きを読む ›駅から徒歩5分、路地裏に佇む隠れ家クレープ店
続きを読む ›1980年代から通う、小田原系ラーメンの老舗
続きを読む ›季節ごとの湯河原の楽しみ方
湯河原は冬でも比較的暖かく、季節ごとに見どころが変わります。開催時期は年によって前後するので、訪れる前に公式サイトで確認してください。
| 季節 | 見どころ |
|---|---|
| 早春 | 幕山公園の湯河原梅林「梅の宴」(例年2月上旬〜3月上旬) |
| 春 | 湯河原駅前の百年桜。町内でいちばん早く咲く一本桜です |
| 夏 | 吉浜海岸の海水浴とサーフィン、万葉公園の渓流沿いで森林浴 |
| 秋〜冬 | 湯河原みかんのみかん狩り(例年10月上旬〜12月下旬) |
湯河原に泊まるなら
日帰りでも十分に楽しめる湯河原ですが、温泉場の宿に泊まると、夕方以降の静かな湯元通りや、朝の藤木川の澄んだ空気まで味わえます。老舗旅館から奥湯河原の落ち着いた宿まで選択肢が多いので、料金と空室を比べながら探してみてください。
よくある質問
湯河原はどこにありますか?何県ですか?
神奈川県足柄下郡湯河原町です。神奈川県の南西端にあり、千歳川を挟んで静岡県熱海市と接しています。最寄り駅はJR東海道本線の湯河原駅です。
湯河原は日帰りでも楽しめますか?
日帰りでも十分楽しめます。駅前の手湯から、バスで温泉場へ上がって湯元通りと万葉公園を歩き、駅前でグルメを楽しむ流れなら、半日から1日で無理なく回れます。
車がなくても観光できますか?
バスを使えば車なしでも回れます。湯河原駅から温泉場まではバスで約10分です。温泉場は坂道が続くので、上流の桜山入口までバスで上がり、下りながら歩くと楽に散策できます。
湯河原温泉にはどんな歴史がありますか?
万葉集にも詠まれた、1300年以上の歴史を持つ温泉地です。明治以降は夏目漱石、島崎藤村、芥川龍之介など多くの文人が滞在し、湯元通りには当時の面影を残す老舗旅館が今も並んでいます。
まとめ
生まれ育った湯河原を、こうして一つの記事にまとめてみると、山と海と温泉がこれほど近くに揃う町は珍しいと、あらためて感じます。バスで温泉場へ上がり、石畳の湯元通りを川の音と一緒に下っていく。海で潮風に吹かれ、地元に根づいたお店で食事をする。派手さはなくても、歩くほどに味わいが増していく町です。記事は今後も少しずつ増やしていくので、気になる場所から自分のペースで歩いてみてください。
湯河原と一緒に回りやすい、近隣エリアの記事もあわせてどうぞ。
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湯河原は、万葉集ゆかりの温泉街や吉浜海岸、個性豊かなグルメが揃う神奈川の温泉地。定番スポットからご当地グルメまで、これまでの記事をまとめて紹介します。
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