
南参道の酒樽を眺めたあと、反対側に目をやると、木の色合いも形もまったく違う樽がずらりと並んでいます。なぜ神社の参道に、フランスのワイン樽が?——初めて見た人は誰もがそう思うはずです。この記事では、明治神宮にワイン樽がある理由から、奉納元であるブルゴーニュ地方の生産者一覧、撮影スポット、日本酒樽との対比まで、写真と一緒にまとめました。

なぜ明治神宮にワイン樽があるのか

答えはシンプルで、明治天皇がワインを大変好まれていたことに由来します。西洋文化を積極的に取り入れた明治という時代、天皇自身もワインを愛飲されました。この史実に着目したのが、ブルゴーニュ名誉市民の佐多保彦氏です。氏がブルゴーニュの関係者へ働きかけたことをきっかけに、地元の造り手たちから明治神宮へワイン樽が奉納されるようになりました。
神酒としての日本酒と、明治天皇が愛したワイン——この2つが参道の両側に並ぶ光景は、日本の伝統と西洋文化の融合を象徴しています。同時に、日本とフランスの友好関係を示すシンボルでもあります。
ワイン樽の基本情報|数と歴史

南参道に並ぶワイン樽は約60個。フランス・ブルゴーニュ地方の生産者たちから、毎年新たに奉納されています。奉納が始まったのは平成18年(2006年)で、明治神宮の社報によれば令和7年(2025年)で20年目を迎えました。2026年は21年目にあたります。
樽にはそれぞれ生産者の名前やワイナリー名が刻まれ、ブルゴーニュの伝統と誇りが感じられます。通常のワイン醸造で使われる樽と同じく、木材はオークが中心。熟成中にワインへ「樽香(たるこう)」と呼ばれるバニラやトーストのような香りを与える、ワイン造りに欠かせない道具でもあります。
ワイン樽と酒樽|和洋文化が向き合う参道

南参道の右側にはワイン樽、左側には全国の酒造家から奉納された日本酒の菰樽(こもだる)が並びます。神道の伝統である神酒と、明治天皇が愛したワイン。この対比が、明治神宮ならではの和洋折衷の光景を生み出しています。日本酒樽については、下記の記事で125銘柄以上を地方別に詳しく紹介しています。

全国の酒蔵から奉納された酒樽を地方別に紹介。奉納の歴史や神道文化とのつながりも解説しています。
ワイン樽が並ぶ場所とアクセス

JR原宿駅の西口を出て、大鳥居から南参道に入ります。東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前〈原宿〉駅」からも徒歩数分です。

参道を進むと、右手に木製のワイン樽が、その向かいに酒樽が現れます。参道の途中にあるため、本殿への参拝ついでに立ち寄れるのも魅力です。混雑を避けたいなら、朝の早い時間帯や平日がおすすめです。
ブルゴーニュワインメーカー一覧
ワイン樽に名前が刻まれた生産者たちは、ブルゴーニュ地方の各産地を代表する造り手です。BeauneやGevrey-Chambertinをはじめとする主要産地ごとに、代表的な生産者を紹介します。

Beaune(ボーヌ)
ブルゴーニュ地方の中心地で、多くの歴史あるワイナリーが集まる産地。赤ワイン、白ワインともに生産され、バランスの良い風味が特徴です。
| 生産者 | 産地 | 概要 |
|---|---|---|
| Domaine Champy | Beaune | ブルゴーニュで最も古いワイン生産者の一つ |
| Domaine Faiveley | Beaune | ブルゴーニュの歴史あるワイナリー |
| Domaine Françoise André | Savigny-lès-Beaune | エレガントで繊細な赤ワインの生産者 |
| Domaine Albert Bichot | Vosne-Romanée | 国際的に評価の高い老舗生産者 |
| Hospices de Beaune | Bourgogne de Salins | 歴史的なワインオークションで有名な施設 |
Gevrey-Chambertin(ジュヴレ・シャンベルタン)
「王のワイン」と称される力強く複雑な赤ワインが有名。この地域はAOC(原産地呼称統制)の規則により赤ワインのみ、ブドウ品種はピノ・ノワールに限定されており、熟成によって深みのある味わいを楽しめます。
| 生産者 | 概要 |
|---|---|
| Domaine Rossignol Trapet | ブルゴーニュ地方を代表する赤ワインの生産者 |
| Domaine Faiveley | 長い歴史を持つブルゴーニュの著名生産者 |
| Domaine Les Arrelières | 高品質なワインで知られる生産者 |
| Domaine Pierre Bouree | 伝統的なワイン作りで評価される生産者 |
| Domaine JP Marchand | 高品質な赤ワインで知られる生産者 |
| Domaine Les Astrelles | 高品質な赤ワインの生産で知られるワイナリー |
| Domaine Denis Mortet | 力強く複雑な赤ワインを生産する名門 |
| Domaine J.C. Fourrier | 繊細で複雑な赤ワインを生産する名門 |
| Domaine J.M. Guillon | 力強く複雑な赤ワインを生産する著名な生産者 |
| Domaine Marchand Grillot | 地域の伝統を受け継ぐ高品質ワインの生産者 |
| Lou Dumont | 日本人醸造家が手掛けるユニークなブルゴーニュワイン |
ちなみにLou Dumontは日本人醸造家が手がける生産者で、樽の中に日本とブルゴーニュのもうひとつの縁を見つけられます。
Meursault(ムルソー)

シャルドネを使用した白ワインの名産地。濃厚でクリーミーな風味が特徴で、エレガントなアロマと長い余韻が魅力です。
| 生産者 | 概要 |
|---|---|
| Domaine Jean-Michel Gaunoux | 白ワインの名産地であるブルゴーニュ地方の生産者 |
| Domaine Pierre Matrot | 長い伝統を持つブルゴーニュの白ワイン生産者 |
| Domaine Château de Meursault | ピノ種のエレガントなブルゴーニュワイン |
| Domaine Boyer-Martenot | エレガントなシャルドネを生産する老舗生産者 |
Puligny-Montrachet(ピュリニー・モンラッシェ)

世界的に評価の高いシャルドネの産地。ミネラル感とフレッシュな酸味が特徴で、洗練された白ワインを生産しています。
| 生産者 | 概要 |
|---|---|
| Domaine Etienne Sauzet | 高品質な白ワインで有名な生産者 |
| Domaine Olivier Leflaive | 世界的に有名な白ワインの生産者 |
Volnay(ヴォルネイ)

繊細で優雅なピノ・ノワールの赤ワインが特徴の産地。果実味と滑らかなタンニンが調和したスタイルで、女性的なワインと評されることもあります。
| 生産者 | 概要 |
|---|---|
| Domaine de la Pousse d'Or | 繊細な赤ワインを手掛ける有名生産者 |
| Domaine Bitouzet Prieur | 上品でバランスの取れた赤ワインの名門 |
| Domaine Lucien Boillot | 豊かな果実味を持つ赤ワインの生産者 |
その他の産地

Chablis(シャブリ)やAloxe-Corton(アロース・コルトン)など、地域ごとに個性豊かなワインを生産。シャルドネやピノ・ノワールが主要品種です。
| 生産者 | 産地 | 概要 |
|---|---|---|
| Domaine Jean Grivot | Vosne-Romanée | 伝統と革新を併せ持つ赤ワインの名門 |
| Domaine Gros Frère & Sœur | Vosne-Romanée | グラン・クリュを代表する高品質なワイン |
| Domaine Bruno Clair | Marsannay-la-Côte | エレガントで力強い白ワインの生産者 |
| Domaine Brocard | Chablis | ミネラル感の強いシャルドネを生産する名門 |
| Domaine Carre | Meursault | 高地のシャルドネとピノ・ノワールが有名 |
フォトジェニックなスポットとしての魅力

整然と並ぶ木製のワイン樽は、伝統的な神社の景観と調和しつつ、どこか異国情緒も感じさせます。南参道の豊かな緑と樽の風合いのコントラストは、春は桜、秋は紅葉とともに、季節ごとに違う表情を見せてくれます。

隣にはワイン樽と好対照な日本酒の菰樽が並び、東西文化が一堂に会する光景を一枚に収められます。朝の時間帯に訪れると人が少なく、静かな環境でじっくり撮影できるのでおすすめです。
よくある質問
Q. 明治神宮にワイン樽があるのはなぜですか?
A. 明治天皇がワインを好まれていたことに由来します。ブルゴーニュ名誉市民の佐多保彦氏が現地の生産者へ働きかけたことをきっかけに、毎年ワイン樽が奉納されるようになりました。
Q. ワイン樽はいつから奉納されていますか?
A. 平成18年(2006年)からです。2025年で20年目、2026年で21年目を迎えています。
Q. ワイン樽の中身は入っていますか?
A. 展示されているワイン樽は、酒樽と同様に中身のないディスプレイ用の樽が中心です。奉納そのものが友好と敬意を示す儀式的な意味を持っています。
Q. 明治神宮の御神酒はワインですか?
A. いいえ。明治神宮の御神酒は日本酒「金婚」(豊島屋酒造)で、ワインではありません。ワイン樽はあくまで日仏友好の象徴として奉納されています。
Q. 酒樽(清酒菰樽)とワイン樽の数は?
A. 南参道の日本酒の菰樽は約216個、ワイン樽は約60個です。菰樽は「奉献酒樽(ほうけんさかだる)」とも呼ばれます。
Q. 樽で熟成するとワインの香りはどう変わりますか?
A. 木樽での熟成によって生まれる香りは「樽香(たるこう)」と呼ばれ、バニラやトースト、ココナッツのような風味がワインに加わります。ブルゴーニュワインの多くはオーク樽で熟成されています。
口コミ・訪問者の声
神社にワイン樽があるのを見て最初は驚きましたが、理由を知って納得。明治天皇のワイン好きが今も続いているんですね。
ブルゴーニュの著名な生産者の名前がずらりと並んでいて興奮しました。ワイン好きなら一度は見ておきたい光景です。
酒樽とワイン樽が向かい合う光景が、和と洋の融合を感じさせて印象的でした。写真映えもばっちりです。
フランスから来た友人がとても喜んでいました。自国の文化が日本の神社に息づいているのを見て感動していました。
朝早い時間に行ったら誰もおらず、静かにゆっくり撮影できました。木の質感がとても綺麗に写ります。
佐多保彦氏の逸話を知り、一つの縁がここまで続いていることに感心しました。歴史を知ると見え方が変わります。
ワインが入っていると思っていましたが、ほとんどが空の展示用でした。
→ 奉納された樽は儀式的な意味合いが強く、中身のない展示用がほとんどです。実際のワインを楽しみたい場合は、近隣のワインショップなどをあたってみてください。
酒樽ばかりに気を取られて、反対側のワイン樽を見逃しそうになりました。
→ ワイン樽は南参道の反対側にあります。酒樽を見たあとは、ぜひ振り返って反対側も確認してみてください。
まとめ・明治神宮のワイン樽

明治神宮のワイン樽は、単なる展示物ではなく、明治天皇のワイン好きと、それを受け継いだ人々の働きかけが今も続いている証です。日本酒の菰樽と向き合うように並ぶこの光景は、明治神宮という場所が持つ「伝統と国際交流の共存」を静かに物語っています。南参道を歩くときは、酒樽だけでなく、ぜひ反対側のワイン樽にも目を向けてみてください。
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