
鎌倉・北鎌倉エリアにある「明月院(めいげついん)」は、別名「あじさい寺」として知られ、6月には青一色に染まる紫陽花が境内を彩ります。歴史ある寺院としての風格に加え、丸窓から望む緑の庭園、御朱印やうさぎモチーフなど、見どころは盛りだくさん。
この記事では、紫陽花の見頃やアクセス方法、拝観料金はもちろん、写真映えするスポットや実際に訪れて感じた魅力もたっぷりご紹介します。鎌倉散策の計画に、ぜひお役立てください。
目次(Table of Contents)
明月院ってどんなお寺?|あじさい寺の由来と歴史を知る
明月院の成り立ちと北条氏とのつながり
鎌倉・北鎌倉の静かな住宅地に佇む「明月院(めいげついん)」は、臨済宗建長寺派に属する禅寺で、その歴史は鎌倉時代にまでさかのぼります。創建は1160年、山内首藤俊通によって「明月庵」として建てられたのがはじまりです。
その後、鎌倉幕府第5代執権・北条時頼がこの地に「禅興寺(ぜんこうじ)」を建立。明月院はその塔頭(たっちゅう)寺院として再整備されました。北条氏と深く関わることで、武士の信仰心や禅の精神が息づく場となったのです。
禅興寺は明治初期の廃仏毀釈で廃されましたが、明月院はそのまま現代まで受け継がれ、多くの人々の心を癒す場所となっています。
「明月院ブルー」と呼ばれる理由とは?
明月院を語るうえで欠かせないのが、「明月院ブルー」と呼ばれる青一色の紫陽花。その名の通り、境内に植えられている紫陽花の多くが、青色の日本古来の品種「ヒメアジサイ」で統一されており、他のあじさい寺にはない統一感と静寂さを演出しています。
この「青一色」の美しさが、まるで心を鎮めるような佇まいを生み出し、訪れる人々の記憶に深く残るのです。SNS映えも抜群で、梅雨の時期には多くの観光客がこの幻想的な青を求めて訪れます。
紫陽花の開花時期とおすすめの時間帯
明月院の紫陽花が見頃を迎えるのは例年6月上旬から下旬にかけて。特に中旬には「明月院ブルー」が境内を埋め尽くすようになり、見ごたえは十分です。
ただし、この時期は非常に混雑します。おすすめは平日の朝8時半の開門と同時に入ること。人が少ない時間帯なら、ゆったりとした空気の中で、紫陽花の美しさと静けさを味わえます。
また、雨の日の訪問もおすすめ。しっとりと濡れた石畳と青い紫陽花の組み合わせは、どこか幻想的で、写真映えする一枚が撮れるかもしれません。
明月院へのアクセス方法と料金
電車・徒歩での行き方
明月院への最寄り駅は、JR横須賀線の「北鎌倉駅」。鎌倉駅の1つ手前で、都内からは横浜経由で約1時間ほどです。駅を出たら、線路沿いを鎌倉方面に少し進み、案内板に従って住宅街の中を歩いていくと、徒歩約10分で到着します。
道中は古民家風のカフェや静かな竹林が続き、まるで時間がゆっくり流れているかのよう。初めての方でも道に迷うことはほぼなく、観光にぴったりな距離感です。
車で訪れる際の注意点
明月院には専用駐車場がありません。そのため、車で訪れる場合は周辺のコインパーキング(有料駐車場)を利用する必要があります。北鎌倉駅周辺にはいくつか駐車場がありますが、紫陽花シーズンや休日は早い時間に満車になることが多いため、時間に余裕をもって訪れましょう。
また、北鎌倉駅周辺から鶴岡八幡宮や鎌倉駅方面へ向かう道路は、道幅が狭く、歩行者も多いため運転には注意が必要です。特に休日や観光シーズンは渋滞が発生しやすいため、可能であれば公共交通機関の利用がおすすめです。
どうしても車でアクセスしたい場合は、朝早めの到着や、鶴岡八幡宮周辺の大型駐車場を利用して徒歩で巡るルートを検討すると、よりスムーズに観光が楽しめます。
明月院の料金
拝観時間と料金|季節で変わる
明月院は季節によって拝観時間と拝観料が異なる点に注意が必要です。
- 通常期(7月〜5月):
9:00〜16:00/拝観料:300円 - 紫陽花シーズン(6月):
8:30〜17:00/拝観料:500円 - 後庭園(特別公開時のみ):
+別途500円
特に6月は混雑緩和のため早朝から開門されるので、朝の爽やかな空気とともに訪れるのがおすすめ。後庭園は紅葉の時期にも公開されることがあるので、事前にチェックしておくと◎です。
混雑を避けるための裏技とアクセスの工夫
明月院は6月になると大変混み合います。特に週末の10〜14時頃は、参道や丸窓の撮影待ちで長蛇の列になることも。
そこでおすすめなのが:
- 平日の朝一番(8:30開門)に訪れる:
人が少なく、写真もスムーズに撮影可能 - 北鎌倉からではなく鎌倉駅から逆ルートで散策する:
混雑が分散され、ゆっくり巡れる - 雨の日を狙う:
人出がやや減り、紫陽花もより映える
また、帰りは北鎌倉駅でなく鎌倉駅まで歩きながら、建長寺や鶴岡八幡宮を巡るのもおすすめのルートです。自然と歴史に包まれた“鎌倉らしい”散策が楽しめます。
明月院の丸窓(悟りの窓)から望む緑の庭園
悟りの窓とは
明月院の本堂奥にある円形の窓は「悟りの窓」とも呼ばれ、訪れる人々の心を魅了する人気の撮影スポットです。正式には「円窓(えんそう)」といい、禅の思想を表す象徴的な建築意匠のひとつです。この丸窓を通して見える庭園の風景は、まるで一枚の掛け軸や絵画のよう。季節ごとに異なる景色が切り取られ、見る人の心に静寂と安らぎをもたらします。
新緑の季節には鮮やかな緑、梅雨時は紫陽花、秋には紅葉、そして冬は雪景色と、何度訪れても違う美しさに出会えるのもこの場所の魅力です。
悟りの窓の撮り方
悟りの窓を美しく撮影するためには、いくつかのコツがあります。まずおすすめは、朝一番に訪れること。光が柔らかく、参拝客も少ない時間帯は、静かな空気感をそのまま写真に収めることができます。
撮影のベストポジションは、本堂正面の中央やや手前。スマートフォンならズームを軽く使い、窓枠いっぱいに庭園が収まるよう調整すると、まるで絵画のような一枚になります。
また、あえて少し外して撮ることで、丸窓の“覗いている”感覚を演出するのも面白い構図です。
明月院のご朱印

明月院を訪れたら、ぜひいただきたいのがご朱印です。境内の本堂で授与されるご朱印は、筆書きの力強さと朱印のバランスが美しく、格式ある一枚。中央には「聖観世音菩薩」と墨書され、寺院の御本尊が祀られていることを示しています。
今回いただいたご朱印は、令和七年五月一日の日付入り。手書きならではの温もりと、寺院の静けさを思い出させる一枚になりました。背景には、瓦屋根の重厚な本堂があり、まさに“心の記録”としてのご朱印を写真に収めました。

ご朱印は、拝観後に本堂の受付にて300円で授与されます。繁忙期は並ぶこともあるので、時間に余裕をもって訪れるのがおすすめです。また、明月院オリジナルのご朱印帳もあり、紫陽花が描かれたデザインが人気ですので、御朱印集めが初めての方にもぴったりです。
写真で巡る明月院フォト特集
明月院の入口と総門

明月院の参道入口。歴史を感じさせる石柱と豊かな緑に迎えられます。

こちらが明月院の総門です。落ち着いた和の佇まいと豊かな緑に囲まれた空間は、境内へと続く静かな時間のはじまりを感じさせてくれます。ここでチケットを購入します。
山門までの参道
明月院の山門へと続く参道は、5月の新緑に包まれた爽やかな空間。頭上に広がる緑のアーチが、心を落ち着かせてくれます。
参道の最奥に立つ山門は、木漏れ日と花々に包まれた幻想的な景色。初夏の柔らかな光が差し込むこの瞬間は、まるで絵画のよう。
6月には両脇に咲く紫陽花が門を彩り、まさに“あじさい寺”の風格を感じさせます。
山門
木々の緑に溶け込むように佇む明月院の山門は、境内への入口にふさわしい落ち着いた雰囲気。参道を歩いてたどり着いた瞬間、喧騒から離れた別世界へと足を踏み入れるような感覚が味わえます。
山門の中央に掲げられた「福源山(ふくげんざん)」の扁額は、明月院の山号を表しています。シンプルながら力強い書体が、古刹としての風格と歴史の重みを静かに物語っています。
本堂
山門をくぐるとすぐ目の前に現れる本堂。白壁と木造の美しい造りが、訪れる人を優しく迎えてくれます。春には白い花が彩りを添え、静寂の中で自然と心が落ち着くような、そんな空間が広がっています。
明月院の本堂内は、控えめな明かりと自然の花が彩る静謐な空間。訪れる人々の祈りをそっと受け止めるような、落ち着きと温もりに包まれています。障子越しに差し込む光もまた、美しさの一部です。
本堂にある悟りの窓です。少し分かりづらいので場所は覚えておいてください。
枯山水庭園

本堂前に広がる枯山水庭園は、丁寧に整えられた白砂と、季節の花々が調和する静謐な空間。松の木の枝ぶりと低く整えられた植栽が、禅の世界観をやさしく表現しています。眺めているだけで心が落ち着く、まさに“癒しの庭”です。

庭園を見上げれば、松の枝の奥に広がる青空と、ほんのり色づいたツツジが初夏の訪れを感じさせてくれます。石と砂、自然の緑が調和する様子に、時間を忘れて見入ってしまうことでしょう。
開山堂
明月院の奥にひっそりと佇む開山堂は、茅葺き屋根が特徴的な建物。初代住職の木像が安置されており、境内の中でもひときわ厳かな空気が漂います。緑に囲まれた姿は、まさに“鎌倉らしさ”を感じさせる一枚。
紫陽花の絵馬が揺れる傍らに、堂々と構える開山堂。祈りの場と、訪れる人々の願いが交差する空間です。木々の陰影と光が織りなす景色が、鎌倉の初夏の空気をより深く感じさせてくれます。
瓶の井(つるべの井)
明月院にある「瓶の井(つるべのい)」は、鎌倉十井のひとつに数えられる由緒ある井戸。岩を垂直に掘り下げて湧き水を汲み上げる構造で、今も清らかな水が湧き出しています。

木の屋根と縄で吊るされたつるべが印象的な瓶の井。竹で覆われた井戸口や苔むす石垣が、時代を超えた静けさを感じさせます。観光の合間に、水の音に耳を傾けたくなるような癒しの一角です。
紫陽花の絵馬
明月院の絵馬は、鮮やかな紫陽花が描かれた季節感あふれるデザイン。
明月院の絵馬には、境内を象徴する紫陽花の花が大きく描かれており、訪れた季節の思い出を彩ってくれます。願いごとを込めて並ぶ絵馬の姿から、訪れる人々の祈りと、あじさい寺ならではの風情が感じられます。
苔と紅葉が織りなす、静寂の庭園美
明月院の境内には、しっとりとした苔とモミジの木々が織りなす、まるで絵画のような庭園が広がっています。足元にはふかふかとした緑の苔が広がり、頭上には紅葉の葉が優しく光を受けて揺れる、四季折々の表情が魅力です。新緑の季節には明るく柔らかな緑、秋には燃えるような紅色と、どの季節に訪れても心癒される空間です。ゆっくり歩きながら、この自然のコントラストを楽しんでみてください。
明月院名物「うさぎ」
明月院を歩いていると、ふとしたところに「うさぎ」モチーフが現れるのに気づきます。石像、絵馬、置物、そして今回訪れた際にはうさぎ小屋までありました。檻の中を覗いてみると、木漏れ日の中で穏やかに過ごすうさぎたちの姿に癒されます。

明月院とうさぎには実は深い関係があります。卯年生まれの北条時頼公にちなみ、「うさぎ=守り神」として祀られているとも言われています。また、うさぎは飛び跳ねる様子から「飛躍・繁栄の象徴」ともされており、開運や子宝祈願の意味合いもあるようです。
境内に点在するうさぎたちは、ただの飾りではなく、明月院の静かな信仰の一端を表す存在。小さな発見ですが、そうしたモチーフに目を留めながら散策するのも、明月院の楽しみのひとつです。
うさぎのいるお寺、明月院。月に因み、またお釈迦様にまつわる話から明月院では(置物や本物の)うさぎたちに出会えます。今年は卯年ということでこの度うさぎの絵本が発行されたとのこと。ももちゃん(10才)を主人公に、明月院の四季を紹介するお話だそうですよ。明月院で購入できます。2/6撮影 pic.twitter.com/hZZWrBBl3K
— 鎌倉市観光協会 (@kamakura_kyokai) February 6, 2023
まとめ・明月院
鎌倉・北鎌倉の自然豊かな地に佇む明月院は、紫陽花の名所として名高い一方で、静かな禅寺としての魅力や歴史、そして写真映えスポットが随所に点在する、まさに癒しと発見に満ちた場所です。
春の新緑、6月の紫陽花、秋の紅葉など、四季折々の表情を見せてくれる境内を歩けば、日々の忙しさを忘れ、心が穏やかになる時間が流れていきます。御朱印や絵馬、うさぎのモチーフといった細やかな見どころも、訪れるたびに新しい発見をもたらしてくれるはずです。
鎌倉観光の計画に、ぜひ明月院を組み込んでみてください。アクセスも良好なので、初めての方にもおすすめできる名刹です。