
腰越漁港を見下ろす小さな岬の上に、小動神社はあります。国道134号線を渡ってすぐの石段を上がると、潮風が少し涼しく感じられる高台の境内へ。海と江の島を見渡せる展望台や、いくつもの境内社、そして思いがけない生き物との出会いまで、腰越さんぽの中でも特に見どころの多い時間になりました。
小動神社ってどんな神社?
小動神社の創建は文治年中(1185年)。源平合戦で武功を挙げた佐々木盛綱が、小動山に登った際に風もないのに枝葉が揺れ動く霊木を見つけ、神域と定めて近江の八王子宮を勧請したのが始まりと伝わります。1333年には新田義貞が鎌倉攻めの戦勝を祈願し、勝利後に剣と黄金を寄進して社殿を再興したという歴史も残っています。御祭神は健速須佐之男命・建御名方神・日本武尊・歳徳神の4柱。例年7月には、江の島の八坂神社と合同で行われる天王祭があり、両社の神輿が片瀬東浜で海上渡御をしたのち龍口寺で合流する「行合祭」が見どころです。
参道を歩いて拝殿へ
国道134号線からの参道
国道134号線沿いの一の鳥居をくぐると、住宅街の合間をまっすぐ参道が伸びています。松や紫陽花に彩られた道を進むと石段が見えてきて、上りきった先にもうひとつの鳥居。振り返ると木々の間から腰越の町並みが広がり、潮風の抜ける気持ちのいい高台でした。

国道134号線越しに一の鳥居を望む、境内への入口。

白い石造りの一の鳥居と「小動神社」の社号標。

松や紫陽花に彩られた参道の先に、石段が続きます。

見上げるように続く石段の先に、もうひとつの鳥居。

石段を上りきった鳥居のそばから、腰越の町並みを見渡せます。
小動神社の手水
石段を上ってすぐの手水舎には「洗心」の文字が刻まれ、龍の口から水が流れ出ています。柄杓を使う前に、まずは心を清めてから参拝へ向かいました。

手水舎の一枚岩に刻まれた「洗心」の文字。

龍の口から水が流れ出る手水。
拝殿
石段を上りきった先に現れる拝殿は、隣に建つ鳥居とのバランスが美しく、境内全体の落ち着いた雰囲気を伝えてくれます。正面には金文字の扁額と真新しい鈴緒があり、作法の案内板を見ながら二拝二拍手一拝で参拝しました。

石段を上りきった先に現れる拝殿の全景。

拝殿正面の金文字の扁額と、真新しい鈴緒。

「小動神社」と刻まれた木彫りの社号額。
境内の末社めぐり
金刀比羅宮と稲荷社

一つの社殿に、色の異なる2つの鳥居が並ぶ光景は、紅白のコントラストがとてもフォトジェニックです。向かって左の白い石造りの鳥居が金刀比羅宮。航海安全や海難救助の神様である大物主神を祀っており、漁師町・腰越ならではの厚い信仰を集めています。右の赤い木造りの鳥居は稲荷社で、五穀豊穣や商売繁盛の神様・宇迦之御魂神をお祀りしています。同じ境内にありながら、祀る神様によって鳥居の色や扁額の文字が異なるのが興味深いところです。
海神社(わたつみじんじゃ)

海の神様・漁業の神様として信仰される綿津見神(わたつみのかみ)をお祀りする海神社。別名「船玉神」とも呼ばれます。鳥居の左奥には「龍王海神」と刻まれたウミガメの石像が安置されており、漁師町である腰越ならではの、海との深い結びつきを感じられる場所でした。
第六天社

「第六天王」と刻まれた立派な扁額が掲げられた鳥居。仏教の他化自在天(第六天魔王)が神仏習合によって、面足尊・惶根尊という日本の神様として祀られています。ご利益は身体健全、病気平癒、魔除けと伝わり、古くから地域の人々に篤く信仰されてきました。鳥居の左手にある高札には「大第六天社」と記されており、生い茂る木々と苔むした石段が神秘的な雰囲気を醸し出しています。

石段をさらに上がった先に佇む「大六天社」の御社殿。すぐ脇の苔むした斜面には古い庚申塔などの石碑群が並んでおり、小動神社の本殿から見て少し小高い森の中に、ひっそりと祀られています。この一角だけ、古くから神聖な場所として守られてきた気配が漂っていました。
展望台から望む景色(台場跡)

境内の一角にある展望台は、幕末の文久3年(1863年)に川越藩が異国船を監視・防衛するため大砲を設置した「腰越台場」の跡地です。空気の澄んだ日には、江の島のちょうど右奥に富士山が大きく姿を現すそうです。この日は残念ながら富士山は望めませんでしたが、それでも十分に見晴らしのよい景色でした。小動神社が腰越漁港を見守るように岬の突端に鎮座していることも、この高さまで上るとよく分かります。

手前に見えるのは、生しらすで有名な腰越漁港。
境内でトカゲに遭遇

境内を歩いていると、コンクリートの上でじっとしているトカゲに出会いました。顔がほんのり赤みを帯びたこの個体は、日本在来種のニホントカゲ(ヒガシニホントカゲ)のオスの成体で、繁殖期になると喉や顔の周りが鮮やかな婚姻色に染まるのが特徴だそうです。神社で見かける生き物は「神様の使い」と言われることがあり、トカゲは尾が切れても再生することから、縁起の良い生き物として語られることもあります。海神社に祀られる「龍王海神」のウミガメ像とあわせて、龍の眷属を連想させる存在に出会えたのも、この日の散策の小さな楽しみになりました。
腰越という地名の由来
境内から見下ろした腰越の町には、実はちょっとした伝説が残っています。昔、鎌倉の深沢にあった湖に五つの頭を持つ龍が住み、村の子どもを襲っていたことから、人々はこの地を「子死越(こしごえ)」と呼んで恐れていたそうです。やがて龍は江の島の弁財天に諭されて改心し、その心変わりにちなんで縁起の良い「腰越」という漢字に変わったと伝えられています。もう一つ、山の腰を越えて人々が海側へ移り住んだことから「腰越」になったという地形由来の説も残っており、どちらの話も、この土地と海との関わりの深さを感じさせてくれます。
小動神社の基本情報
| 御祭神 | 健速須佐之男命・建御名方神・日本武尊・歳徳神 |
| 創建 | 文治年中(1185年) |
| 例祭 | 天王祭(7月第1〜第2日曜、江の島・八坂神社と合同) |
| 境内社 | 金刀比羅宮・稲荷社・海神社・第六天社 |
| 住所 | 神奈川県鎌倉市腰越2-9-12 |
| 見どころ | 展望台(台場跡)、境内で出会える生き物 |
| アクセス | 江ノ電「腰越駅」から徒歩4〜6分 |
腰越駅から小動神社までのルート(Googleマップ)。
よくある質問
Q. 小動神社は何の神様が祀られていますか?
A. 健速須佐之男命・建御名方神・日本武尊・歳徳神の4柱が祀られています。文治年中(1185年)に佐々木盛綱が近江の八王子宮を勧請したのが始まりと伝わる神社です。
Q. 腰越という地名の由来は何ですか?
A. 深沢の湖に住んでいた五頭龍が、江の島の弁財天に諭されて改心したことにちなみ、縁起の良い「腰越」の字が当てられたという伝説があります。山の腰を越えて人々が移り住んだからという地形由来の説も伝わっています。
Q. 小動神社の見どころは何ですか?
A. 富士山も望める展望台(台場跡)、金刀比羅宮・稲荷社・海神社・第六天社などの境内社めぐり、そして紅白の鳥居が並ぶフォトジェニックな一角が見どころです。運が良ければ境内でトカゲに出会えることもあります。
まとめ
展望台からの海の眺め、色とりどりの境内社、そして思いがけないトカゲとの出会い。小動神社は、腰越の高台にありながら、短い時間でたくさんの表情を見せてくれる神社でした。江ノ電沿線を歩く途中に、ぜひ石段を上ってみてほしい場所です。

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藤沢方面から鎌倉方面へ、江ノ電の駅番号順(EN06〜EN15)に並んでいます。



























