
鎌倉観光の定番スポットである「鎌倉大仏(高徳院)」。
その堂々たる姿を目の前にしたとき、誰もが静かな感動を覚えるはずです。
この記事では、鎌倉大仏の歴史や大きさの豆知識から、見どころや御朱印の情報、アクセス方法までを写真とともにわかりやすくご紹介します。はじめて訪れる方にも、久しぶりに鎌倉を歩く方にも役立つ情報をまとめました。旅の計画を立てる前に、ぜひ参考にしてみてください。
目次(Table of Contents)
鎌倉大仏とは?|歴史ある銅像の由来を知る
鎌倉大仏の歴史|建立の時代と背景
鎌倉大仏は、正式には高徳院 鎌倉大仏といい、鎌倉市長谷に位置する阿弥陀如来像です。造立が始まったのは1252年(建長4年)とされ、鎌倉時代中期に多くの人々の寄付により建立されました。
当初は大仏殿というお堂の中に安置されていたと伝えられています。今のような露座(屋外)になったのは後の時代で、江戸時代以前の資料にもその名残が見られます。鎌倉の武家文化と信仰の象徴として、今なお多くの人々に親しまれています。
なぜ屋外に?露座になった理由とは
現在の鎌倉大仏は屋根のない“露座の大仏”として有名ですが、もともとは木造の大仏殿が存在していたとされています。しかし15世紀の大地震や津波によってそのお堂が崩壊し、その後再建されることなく、今日に至るまで屋外に立ち続けています。
このような歴史的背景により、青空の下に静かに佇む大仏の姿は、どこか荘厳でありながら開放感も感じさせてくれます。自然の中に溶け込んだ仏像として、その存在感は今もなお圧倒的です。
鎌倉大仏の大きさはどれくらい?
高さ・重量などスペックで見る鎌倉大仏
鎌倉大仏は、高さ約11.3メートル(像高)、台座を含めると約13.4メートルの青銅製仏像です。重さは約121トンにもおよび、非常に堅固な構造を持っています。
この阿弥陀如来坐像は、鎌倉時代に築かれた鋳造技術の高さを物語る存在でもあり、細部のディテールやバランスの良さも注目ポイントです。特に蓮華座(台座)の彫刻や、表情の穏やかさが訪れる人の心を和ませてくれます。
他の大仏(奈良・牛久)との比較も紹介
日本には他にも有名な大仏があり、それぞれに個性があります。たとえば奈良の東大寺の大仏(盧舎那仏)は像高約14.7メートルで、鎌倉大仏より一回り大きいことで知られています。
さらに圧倒的なスケールを誇るのが茨城県の牛久大仏。こちらは高さ120メートル(像高約100メートル)を超え、世界最大級の立像としてギネスにも登録されています。
それでも鎌倉大仏は、その大きさと調和した自然との一体感において、他の大仏にはない魅力があります。観光地としてのアクセスの良さや、フォトスポットとしての映えも人気の理由です。
鎌倉大仏の見どころと楽しみ方
正面から感じる威厳ある表情
まず注目したいのが、大仏を正面から見上げたときの存在感です。阿弥陀如来ならではの穏やかで優しい表情の中に、どこか静かな威厳が漂い、長い年月を見守ってきた重みが感じられます。
顔のバランスや目線の角度なども非常に丁寧に作られており、写真映えはもちろん、心を静めてくれるような力強さがあります。訪れたらまずは正面からじっくりと、その姿を味わってみてください。
台座の蓮や螺髪のディテールを観察
鎌倉大仏は近づいて見ることで、蓮華座(台座)や頭部の螺髪(らほつ)といった繊細な装飾にも気づくことができます。台座の蓮の花びらは厚みと奥行きがあり、荘厳さと美しさを兼ね備えた造形です。
また、頭部にある巻貝状の螺髪は656個と言われており、ひとつひとつに手間と技術が込められています。こうしたディテールは、スマホでも十分楽しめるので、近づいてじっくり観察するのがおすすめです。
大仏胎内の見学は今もできる?
鎌倉大仏では、かつて内部(胎内)を見学できる特別な体験が人気でした。銅像の中に入って内部構造や鋳造技術を間近で見ることができ、多くの観光客が訪れていました。
ただし、現在は安全・衛生面の理由で胎内見学は休止中となっています。再開される場合は高徳院公式サイトなどで告知があるので、事前にチェックしてから訪問されるのがおすすめです。
鎌倉大仏の御朱印と授与場所
御朱印のデザインといただき方
鎌倉大仏がある高徳院では、御朱印の授与も行われています。中央には「阿弥陀如来」の文字が力強く書かれ、朱印とともに寺院名「大異山 高徳院」が入る伝統的なデザインです。
御朱印は境内の授与所(本堂横の受付)でいただくことができ、初穂料は300円。混雑時は少し並ぶこともありますが、参拝の後にいただくことで、より記憶に残る旅の記念になります。
オリジナル御朱印帳はある?
高徳院では、鎌倉大仏をモチーフにしたオリジナル御朱印帳を授与しています。緞子地の表紙に大仏像、背表紙には雲板を箔押ししたデザインで、色は青緑色と灰色の2種類があります。青緑色は龍文緞子生地に金箔押し、灰色は桜文緞子生地に銀箔押しが施されています。

鎌倉大仏へのアクセス方法
江ノ電「長谷駅」からの徒歩ルート
鎌倉大仏(高徳院)へのアクセスは、江ノ島電鉄(江ノ電)の「長谷駅」から徒歩約7分がもっとも一般的で便利です。駅を出て右手に進み、「由比ヶ浜通り」を歩いていくと、大仏通りに入ってすぐ左手に高徳院の入口が見えてきます。
道中にはカフェや土産物店も並んでおり、観光気分を楽しみながら歩けるルートです。週末や観光シーズンは混雑するため、時間に余裕を持って向かうのがおすすめです。
〒248-0016
神奈川県鎌倉市長谷4丁目2番28号
電話番号 : 0467-22-0703
FAX番号 : 0467-22-5051
電話受付時間:拝観時間内
バスや車でのアクセスと注意点
JR「鎌倉駅」からは、京急バス(長谷観音行き)に乗車し、「大仏前」バス停で下車すれば、徒歩すぐで高徳院に到着します。バス所要時間は約10分〜15分ですが、混雑時は遅延もあるためご注意を。
また車での訪問は、周辺の道路が狭く駐車場も限られているため、あまりおすすめできません。どうしても車で行く場合は、周辺のコインパーキングを事前に調べておくと安心です。
拝観時間・料金・所要時間
鎌倉大仏(高徳院)は予約不要で、季節によって開門時間が異なります。以下にわかりやすく整理しました。
項目 | 時間 | 期間 |
---|---|---|
開門(拝観時間) | 8:00〜17:30(4〜9月) 8:00〜17:00(10〜3月) ※入場は閉門15分前まで | 通年 |
大仏胎内拝観 | 8:00〜16:30 ※入場は終了10分前まで | 通年 |
直営売店(札所) | 8:30〜16:45 | 通年 |
御朱印帳記帳 | 9:00〜15:00 | 通年 |
印刷紙朱印の授与 | 8:00〜16:30 | 通年 |
区分 | 拝観料 |
---|---|
一般 | 300円 |
小学生・中高生 | 150円 |
幼児(未就学児) | 無料 |
大仏胎内拝観 | 50円(別料金) |
拝観自体は30分〜1時間ほどあればゆっくり楽しめます。周辺の観光と組み合わせて、半日プランでの訪問もおすすめです。
写真で巡る高徳院|鎌倉大仏の風景と境内の魅力を一望
文字だけでは伝えきれない鎌倉大仏(高徳院)の魅力を、写真とともにご紹介します。威厳ある大仏像はもちろん、参道や山門、緑に包まれた境内の景色まで、訪れた人だけが味わえる静けさと美しさがそこにあります。
これから訪れる方への参考としても、思い出の振り返りとしても、ぜひこのフォト特集で高徳院の雰囲気を感じてみてください。
仁王門|高徳院の入口を守る迫力の門
高徳院に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが仁王門(におうもん)。堂々とした佇まいで、まさに境内の“顔”ともいえる存在です。門の左右には、仏教の守護神である仁王像(阿形・吽形)が安置されており、訪れる人々を睨むような迫力ある表情で迎えてくれます。
緑に囲まれたこの門をくぐると、ふっと心が静まり、いよいよ大仏との対面が近づく高揚感を感じるはず。写真映えするポイントでもあり、旅行の記念として一枚撮っておきたいスポットです。
仁王門に安置されている左右の仁王像
右側:阿形(あぎょう)
仁王門を正面に見て右側に立つのが「阿形(あぎょう)像」です。口を大きく開いて「阿(あ)」の音を発し、これは仏教で宇宙の始まりを象徴しています。右手を上げて来訪者を制止するようなポーズをとり、邪悪なものを寄せつけない力強さを感じさせる造形です。
その表情には、怒りと慈悲が同居しており、仏の教えを守る門番としての威厳がにじみ出ています。
左側:吽形(うんぎょう)
一方、仁王門の左側に立つのが「吽形(うんぎょう)像」。口を固く閉ざして「吽(うん)」の音を表し、これは宇宙の終わり・完成を意味します。こちらは両拳を握りしめ、全身にみなぎる緊張感と静けさが印象的。
「阿形」と対を成し、始まりと終わり=“あ・うん”の呼吸で仏教世界を守護している存在として、人々の信仰を集めています。
参拝前に立ち寄る券売所|拝観チケットはここで
高徳院の境内に入る前に、まずはこちらの券売所で拝観チケットを購入します。素朴で静かな木造の建物は、鎌倉らしい落ち着いた雰囲気。訪れる人々が列を作って並ぶ姿もまた、どこか旅の始まりを感じさせてくれます。
料金は大人300円、小学生150円と手ごろで、大仏胎内の拝観を希望する方は別途50円が必要です。
手水舎|竹筒から流れる清らかな水で心を整える
高徳院の参道を進むと、緑に包まれた静かな一角に佇む手水舎(ちょうずや)があります。ここでは、柄杓の代わりに竹筒から直接流れ出る清水が印象的で、まるで自然の中の清流のような趣を感じさせます。
現在は感染症対策などの影響もあり、ひしゃくは設置されていませんが、手をかざして流れる水に触れれば、それだけでも気持ちが落ち着き、心が整うひとときとなるでしょう。
石の水盤には「鎌倉大仏井」や仏教にちなんだ文字が刻まれており、ただの手洗い所にとどまらない、歴史と信仰の深さを感じられるスポットです。参拝前に、ぜひ立ち寄ってみてください。
タイ国王が手植えした記念の松|歴史をつなぐ友情の象徴
高徳院の境内には、ひときわ目を引く立派な松があります。実はこの松、1931年(昭和6年)4月9日に、当時のシャム(現在のタイ王国)国王ラーマ7世(プラチャティポック国王)が、王妃ランパイパニー王妃とともに高徳院を訪れた際、記念として自ら植えたものです。
松の前には、その歴史を記したプレートが設置されており、日・英・タイ語で経緯が紹介されています。
この一本の松が、遠い国との文化交流の証として今も静かにたたずんでいるのは、まさに「生きた歴史」と言えるでしょう。
訪れた際には、ぜひこの場所にも足を止めて、国境を越えたつながりの物語に想いを馳せてみてください。
大仏のための“巨大わらじ”|健脚祈願の想いが込められた奉納品
高徳院・鎌倉大仏の敷地内で目を引くのが、堂々と掲げられた「大わらじ」。この巨大なわらじは、山形県村山市の有志によって奉納されたもので、一足およそ2メートルにもなる大きさを誇ります。
わらじの奉納には「大仏さまがこのわらじを履いて全国を行脚し、世の中を見守ってくださるように」という願いが込められており、健脚祈願や旅の安全を願う象徴として、多くの参拝者がその前で足を止めます。
そっと佇む石仏|やさしいまなざしに心和む
境内の一角に静かに立つ石仏は、訪れる人の心をそっと癒す存在。風雨にさらされ表情はやや朧げながらも、赤い前掛けをまとった姿はどこか親しみがあり、まるで見守ってくれているかのようです。
足元には多くの硬貨が供えられており、人々の祈りや感謝が感じられるポイント。華やかな大仏とはまた違った、素朴で温かな魅力があるこの石仏も、ぜひ立ち止まって写真に収めてみてください。
「鎌倉みやげ 山海堂」正面のお土産屋さん
高徳院・鎌倉大仏の参道を出てすぐ正面にあるのが、昔ながらの土産物店「鎌倉みやげ 山海堂」。日本らしい和風の看板が目を引くこのお店では、日本刀のレプリカや伝統的な和雑貨、鎌倉限定のお菓子など、バリエーション豊かなお土産が揃っています。
参拝の余韻に浸りながら、思い出を形に残す一品を見つけるのも旅の楽しみ。外国人観光客にも人気のスポットなので、写真撮影や異文化交流のきっかけにもなりますよ。
まとめ|鎌倉大仏で感じる“静けさ”と“日本の美”
鎌倉大仏は、歴史的な背景と美しい造形、そして開放感あふれる露座の姿が、訪れる人々に深い感動と静かな癒しを与えてくれます。歴史を学び、御朱印をいただき、迫力ある姿を写真に収めることで、より深くこの場所の魅力を味わえるでしょう。
アクセスの良さや所要時間の手軽さもあり、鎌倉観光の初心者にもおすすめの名所です。長谷寺や由比ヶ浜などの周辺スポットと組み合わせて、ぜひ心に残る鎌倉のひとときを楽しんでみてください。