
七里ヶ浜駅から江ノ電に揺られること数分、線路の先に江の島が大きく見えてきたら、そこはもう稲村ヶ崎。新田義貞が太刀を海に投じたという伝説の岬であり、富士山と江の島を一望できる公園、大正時代のアーチ橋、海沿いのカラフルなカフェまで、小さなエリアに見どころがぎゅっと詰まった場所です。

この記事では、実際に歩いて撮った写真とともに、稲村ヶ崎駅の様子から、公園・音無橋・カフェ・温泉まで、稲村ヶ崎エリアの見どころをご紹介します。
稲村ヶ崎駅|レトロな駅舎と江ノ電の行き違い
江ノ電・稲村ヶ崎駅は、昔ながらの雰囲気を残す改札口と、どこか懐かしい空気感が漂う駅。構内は1本の島式ホームになっていて、コンパクトながら味わい深いローカル駅の魅力が詰まっています。
この駅の見どころは、単線ゆえの「行き違い」が見られる貴重なスポットであること。反対方向からやってくる江ノ電がホームに到着し、2編成が並ぶ瞬間は、鉄道ファンはもちろん、旅人にとっても嬉しいシャッターチャンスです。

レトロな駅と2台の江ノ電が織りなす風景は、「これぞ江ノ電の旅」という気分にさせてくれます。
稲村ヶ崎駅までの線路脇を歩く、江の島と富士山の絶景
稲村ヶ崎駅の手前は、江ノ電の絶景撮影スポットとして知られています。ゆるやかなカーブを描く線路の先に、江の島が堂々と構える風景は、思わずシャッターを切りたくなる光景です。

さらに天気が良ければ、その奥に富士山が姿を現すこともあり、まさに奇跡の1枚が狙えるポイント。夕方の光に染まる空と海、そこを走る江ノ電のシルエットが合わさると、旅の一枚がドラマチックに仕上がります。

稲村ヶ崎、稲村ケ崎、稲村ガ崎…表記の違いと名前の由来
稲村ヶ崎という地名を調べていると、「稲村ヶ崎」「稲村ケ崎」「稲村ガ崎」と、表記がいくつも出てきて迷った方もいるのではないでしょうか。実はこれ、場面によって使い分けがあります。駅名や史跡としては「稲村ヶ崎」、住居表示・町名としては「稲村ガ崎」が正式な表記です。「稲村ケ崎」は時刻表検索など実務上の表記で見かけることがありますが、正式なものではありません。

この岬が歴史に名を残しているのは、元弘3年(1333年)、鎌倉幕府を攻めていた新田義貞にまつわる伝説のためです。切り立った崖に軍勢が阻まれた義貞が、潮が引くよう念じて太刀を海に投じたところ、干潟が現れて岬の南から鎌倉市中に攻め入れた——『太平記』にそう記された話が、稲村ヶ崎の名を今に伝えています。現地の鎌倉海浜公園内には1917年(大正6年)に建てられた石碑が今も残り、1934年(昭和9年)には「稲村ヶ崎(新田義貞徒渉伝説地)」として国の史跡に指定されました。
稲村ヶ崎公園から江の島と富士山を望む

稲村ヶ崎の海岸を歩いていると、桑田佳祐監督の映画『稲村ジェーン』とその主題歌『真夏の果実』をふと思い出しました。この一帯は同作の舞台にもなった、湘南らしい風景が広がる場所です。
公園内には、1910年(明治43年)に七里ヶ浜沖で起きた逗子開成中学のボート遭難事故を悼み、その哀歌「真白き富士の嶺」の歌詞を刻んだ兄妹像の慰霊碑も建っています。富士山と江の島を一望できる展望スポットとして、夕日の名所としても知られています。
音無橋、大正時代から残るアーチ橋

親柱に「大正十五年二月成」と刻まれた、築100年近いアーチ橋です。
稲村ヶ崎駅から少し歩いた先にあるのが、大正15年(1926年)に架けられた音無橋。関東大震災後の復興期に造られた鉄筋コンクリート造の充腹アーチ橋で、スパンドレル部分の装飾に当時の意匠が感じられます。橋の下を流れる音無川は、かつて上流にあった「音無の滝」に由来する名前だそうです。滝壺が砂地だったため水音がしなかった、という伝承が残っています。

国道134号線沿いのカラフルなカフェ「THE SUNRISE SHACK」

国道134号線を江の島方面に歩いていくと、海沿いにひときわ目を引くカラフルな建物が見えてきます。

遠くからでも目に留まる、ハワイアンカラーの外観。
これはTHE SUNRISE SHACK 稲村ヶ崎本店というカフェ。ハワイ・ノースショア発祥のブランドで、スーパーフードを組み合わせた「アップグレードドリンク」が特徴です。営業時間は平日・日曜が7:00〜18:00、金曜・土曜は7:00〜21:00(詳細は公式サイトでご確認ください)。海を見ながら一息つくのにちょうどいい、稲村ヶ崎さんぽの休憩スポットです。
稲村ヶ崎温泉で夕日を眺める
稲村ヶ崎駅から徒歩3分ほどの場所には、稲村ヶ崎温泉という日帰り入浴施設もあります。天然の炭酸水素塩冷鉱泉(通称「黄金の湯」)を引いた内風呂・天空風呂を備え、朝は海、夜は江の島の夜景を眺めながら湯につかれるのが魅力。2017年9月にリニューアルオープンした施設で、営業時間は9:00〜21:00(最終受付20:00)、年中無休(メンテナンス休業あり)とのことです。稲村ヶ崎さんぽの締めくくりに立ち寄るのもおすすめです。
稲村ヶ崎の基本情報
| 駅名 | 稲村ヶ崎駅(江ノ島電鉄線) |
| 開業 | 1922年(大正11年) |
| 江ノ電駅番号 | EN10 |
| 隣接駅 | 七里ヶ浜駅(藤沢方面)/極楽寺駅(鎌倉方面) |
| 住所 | 神奈川県鎌倉市稲村ガ崎 |
| 周辺の見どころ | 稲村ヶ崎公園、音無橋、THE SUNRISE SHACK、稲村ヶ崎温泉 |
よくある質問
Q. 稲村ケ崎・稲村ガ崎、どっちが正しい表記ですか?
A. 場面によって使い分けがあります。駅名・史跡としては「稲村ヶ崎」、住居表示・町名としては「稲村ガ崎」が正式な表記です。「稲村ケ崎」は時刻表検索など実務上の表記で見かけることがありますが、正式なものではありません。
Q. 稲村ケ崎にはどんな伝説がありますか?
A. 元弘3年(1333年)、鎌倉幕府を攻めていた新田義貞が、崖に阻まれたこの地で太刀を海に投じて潮を引かせ、鎌倉市中に攻め入ったという伝説が『太平記』に記されています。現地には1917年建立の石碑が残り、1934年に国の史跡に指定されました。
Q. 稲村ケ崎はどこにありますか?
A. 神奈川県鎌倉市、江ノ電の七里ヶ浜駅と極楽寺駅の間に位置する岬です。鎌倉駅から江ノ電で約15分、稲村ヶ崎駅で下車してすぐの場所にあります。
Q. 稲村ケ崎はどんなところですか?
A. 新田義貞の伝説で知られる岬で、富士山と江の島を望む稲村ヶ崎公園、大正時代のアーチ橋「音無橋」、海沿いのカフェ「THE SUNRISE SHACK」、日帰り温泉施設まで、小さなエリアに見どころが揃っています。アニメ『SLAM DUNK』の聖地巡礼スポットとして紹介されることもありますが、作品でおなじみの踏切のシーンは隣の鎌倉高校前駅です。
まとめ
稲村ヶ崎は、新田義貞の伝説が残る岬でありながら、富士山と江の島を望む公園、大正時代のアーチ橋、海沿いのカフェ、日帰り温泉までが徒歩圏内に揃う、盛りだくさんなエリアでした。江ノ電の車窓から江の島や富士山が見えてきたら、途中下車してこの岬を歩いてみてほしいと思います。

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藤沢方面から鎌倉方面へ、江ノ電の駅番号順(EN06〜EN15)に並んでいます。



























